モビリオ乗りがフリードを借りた感想


ホンダ フリードモビリオ の後継モデルで、5 ナンバー・4 メートル級・3 列シートのミニバンという基本的なコンセプトは一緒。モビリオを持ってる私がわざわざフリードを借りることはまずないわけで*1、年末にスタッドレス目当てでカーシェアリングのフリードを借りたのは貴重な機会だった。モビリオからフリードへ――この10年の進化はいかほどのものだったろうか?

フリードの良い点

  • 高速道路が快適。静かで、燃費が良くて、スピードが出せる。これは高速が苦手なモビリオに対する大きなアドバンテージだと思う。たぶん2つの要因があって、ひとつは前頭部の傾斜が深くなったことによる空力的な改善 (その代わり運転席上方のクリアランスが減って窮屈になった)。もうひとつは CVT のギヤ比が高速側に伸びたこと。厳密な値は忘れたけど、たしか 120km/h 巡航時に 3000rpm を下回ってた気がする (モビリオは 3000rpm を優に超える)。
  • パワーがある。排気量は同じだけど最高出力が 87kw あり (モビリオは 66kw)、制御の上手さと相まって、合流でも山登りでもパワー不足をほとんど感じなかった。パワーがあるからこそギヤ比を高速側に振る余裕もできたわけで、ここがフリードの良さを生み出すキモなんだろうと思う。
  • 瞬間燃費計。細かい話だけど、メーターパネルに積算燃費計だけでなく瞬間燃費計が表示される。加速すると 4km/l ぐらいまでググーっと落ちて、下り坂では 30km/l を超えて振り切れるという、当たり前なんだけど面白い動きをする計器だ。これが目の前にあると発進加速度を抑えたくなるという高度な心理効果がががw

フリードの悪い点

  • トルコン付き CVT。最悪。トルコン特有の「アクセルとタイヤが繋がってない感」を心ゆくまで味わえた。最悪。湿式多板クラッチ付き CVT*2 の「ずっと繋がってる感」がモビリオの官能性を底上げしてたのに、それをなくしちゃったらタウンエースと何が違うんですか。もう最悪。…まぁたしかに、湿式多板クラッチは停止直前の制御が難しくて D レンジに入れたままショックなく停めるのは至難の業だったし、発進時にガクガクする個体が多発してディーラーは対応に苦慮してたみたいだけど…。そこを何とか創意工夫とチューニングで乗り切ってくれるホンダであってほしかったけど、あきらめて昔ながらのトルコンに逆戻りしてしまったのでした。残念。
  • やや小回りが利かない印象。ホイールベースは 2,740mm で変わらないし、スペック上の最小回転半径は 5.3m → 5.2m でむしろ縮まってるんだけど…? 運転席からの見切りが悪くなったせいかもしれない。
  • ドアミラーが四角くない。バックで駐車枠内にまっすぐ入れるのが難しくなった。
  • タコメータが段階表示。細かい話だけど、メーターパネルのタコメータと燃料残量計がデジタルの段階表示。タコメータは値を読むものというより、エンジン音が聞こえにくい状況で針の振れ具合を視界の隅で捉えるためのものなので、アナログ的に動きが見えないようでは存在価値があまりないと思う。

まとめ

フリードはモビリオに比べ、良くも悪くも「クルマらしく」なった。ボディのデザインも駆動系の設計も、クルマとしての完成度を上げるために本気で頑張って、ちゃんと相応の成果を得ている。逆に言うと、「クルマらしくない」というモビリオ最大の魅力は完膚なきまでに失われてしまった。いつの日かまた、クルマらしくないクルマをホンダが作ってくれることを祈る。それまでモビリオは手放せないんだぜ…。

*1:そもそもレンタカーでフリードなんて見たことない

*2:ホンダ マルチマチック。参考 http://www.honda.co.jp/factbook/pi-civic/trans.htm