iTunes

種々雑多な音楽ファイルをディレクトリベースで管理するのに限界が見えてきた。データベース方式の管理ソフトとしては Windows Media Player 10 があるが、多機能な反面いまいちインターフェイスが整理されてなくて使いにくい。となれば、ここはひとつ UI に定評のある Apple 製品を試してみようじゃまいか。というわけで iTunes 7 をインストールしてみた。正直 QuickTime にはあまりいい思い出がないのだが、はてさて…。

  • まずデータベースの構築と再生音量の正規化に1晩かかった。
  • 動作の重さは WMP10 の比ではない。
  • 画面デザインは秀逸。 WMP のように無駄な面積を占めている場所がなく、できることが整理されている。
  • 「ジャンル>アーティスト>アルバム」の3階層絞り込み方式はわかりやすい。
  • インクリメンタルサーチも使いやすい。

とまぁ、たしかにインターフェイスはよくできてると思われる。しかし!
ディレクトリ構造を意識しないタグベースの管理ソフト(WMP10 も同じ)は、すべての曲が厳密かつ統一的にタグ付けされていないと真価を発揮できない。自分ですべてのタグを書き込むならともかく、実際にはそうではないのでどうしても表記の揺れは排除できない。姓名間にスペースを入れるか否か、英数字は全角か半角か、ユニット名をとるかヴォーカリスト名をとるか、複数のアーティストが参加しているアルバムはどう扱うか、 etc.
この問題を解決するには、究極的には楽曲とタグ情報を厳密に1対1で対応づけなければならない。ひとつの楽曲に対してタグ情報はひとつしか存在してはならない。タグを書き込む人は1人でなければならない。つまり、楽曲が生み出された時点で、アーティスト自身の手によって、データの中にタグ情報を埋め込むのだ。流通するすべての楽曲がこうしてタグ付けされて初めて、タグベースの管理方式は真価を発揮する。
CDDB がそれに近いことを実現しようとしているが、表記の揺れを抑える手段がない。 AmazonCDDB サービスを提供してくれれば少しは改善されそうな気もするが、どちらにせよ CD 以外の形で流通している楽曲に対してはお手上げだ。結局、 http://d.hatena.ne.jp/mobitan/20060420/1145539622 で書いたような波形パターンマッチングによるメタデータ検索エンジンが必要になってくる。世界中の音楽(の特徴量)を収録した国会図書館のようなデータベースの構築だ。それは "Organize the world's information and make it universally accessible and useful." を標榜する Google の仕事か、それとも現時点でそれに最も近いデータベースを運用する Amazon の仕事か。
…え? おまえがさっさとベンチャーを立ち上げてやれって?