2021/01/26: 最新版を別記事として書きました。
名付けて「ブリ中トロ配列」*1。
特徴
中指前置シフト・清濁同置のシンプルな設計でありながら、TRON かな配列なみの打鍵効率 1.21、同指跳躍率0.3% を達成。
- 濁拗音・外来音を含むすべてのモーラを2打鍵以内で入力できる。例: [JT] =「じゃ」、[FZ] =「でぃ」、[YQ] = 「ふぉ」 など。
- 左右対称なキーボードを撫で打ちするのに適した負荷分布。
- ですます調の文章(Yahoo!知恵袋コーパス)を用いた定量評価。
- Google日本語入力のローマ字カスタマイズで実装。
設計方針
非拗音面と拗音面を完全に分けて考える。
非拗音面は前置シフトで、シフトキーは [D] [K] の2種類。同手シフトと逆手シフトを区別する。濁音は清音のシフト側に置く(濁音の頻度が高ければ逆手シフト、低ければ同手シフトとする)。例:
- [O] =「く」
- [DO] =「み」
- [KO] = 「ぐ」
シフトキーの単独打鍵で句読点を入力する。そのため、句読点の直後で必ず変換/確定しなければならない。
拗音面は後置シフトで、シフトキーは [T] [Q] [Z] [DJ] [DL] の5種類。これらが2打目に来た場合、直前の1打目をキャンセルして子音に読み替え、2打目を母音と見なし、両者の組み合わせで1モーラの拗音を入力する。拗音面の子音配列は、非拗音面の清音配列とは無関係に、頻度に応じて決める。例:
- [OT] =「きゃ」
- [OQ] =「きゅ」
- [OZ] =「きょ」
- [ODJ] =「きゅう」
- [ODL] =「きょう」
この例だと、1打目に [O] を打った時点では「く」が表示されるが、2打目に [T] を打つと「く」が消えて「きゃ」に変わる。この動作は Google 日本語入力のローマ字カスタマイズで実装できる。
負荷分布
国立国語研究所 現代日本語書き言葉均衡コーパス のうち「出版・書籍」「特定目的・Yahoo!知恵袋」の各上位1万語彙を用いて各キーの負荷を解析した。
- ですます調の文章が多い「特定目的・Yahoo!知恵袋」コーパスにおいてバランスの良い負荷分布になっている。
- 右手の負荷がやや高い。これは「る」を右手に置いたことに起因する。オリジナルの TRON かな配列では「り」「る」が左手、「あ」「け」が右手にあり、負荷率は左右ほぼ均等だった。しかし、ですます調で頻出する「ま」が隅にあること、中指シフト化にともない「とる」「こる」が打ちにくくなること、などの難点があった。そこで、ブリ中トロ配列では「り」「る」を右手に追い出し、空いた左手の隅に後置シフトキーを置いた。
定量評価
京都大学 黒橋・河原研究室 で配布されている、BCCWJ(コアデータ)コーパスから生成された仮名漢字変換用 2-gram の上位1万語彙を用いて評価した。
打鍵効率は1文字の入力に必要な平均打鍵数、同指跳躍率は上段キーの直前/直後に下段キーを打つ率である。
ブリ中トロ配列は、清濁同置・前置2シフトという単純な(効率向上には不利な)設計ながら、打鍵効率 1.21、同指跳躍率 0.3% を達成した。これは、清濁別置・前置3シフトであるハイブリッド月配列に比べ同指跳躍率が半分以下であり、親指シフトである TRON かな配列に匹敵する。
感想(2019/10/31 追記)
やっぱり右薬指の負荷が高すぎてアカンかった…。